愛にまつわるもの

愛に生きるという自分への備忘録。

【映画】『あゝ、荒野』・・・お前は美しく生きているのか。

最後の新次の眼差しが僕に問いかける。

 

 

 

こんばんは。

今日は映画をご紹介します。

 

あゝ、荒野

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現在公開中の作品で

寺山修司さん唯一の長編小説を映像化した作品です。

 

 

伊坂幸太郎様様のお言葉を借りると

 

「『おまえたちは支配されてるのか?それとも命令してんのか?おまえたちは、前進してんのか、それとも後退してんのか?』」

伊坂幸太郎砂漠』 より

 という感想がしっくりきました。

 

 

お前は生きているのか。死んでんのか。

と。

 

とにかくよかった。

2017年で一番よかったかも。

 

 

まあ熱量が凄いです。

ネタバレ含みますがその熱量が伝われば幸いです。

 

 

あらすじはこんな感じ。

吃音症で対人赤面症に悩む建二。母親の死後、暴力をふるう父親と共に生活していたが耐えられず、家から出るため床屋に住み込みで働いている。一方の新次は幼いころに父親は自殺、母親にも捨てられ野性的な性格に育った。似たところがあるような、ないようなこのふたりがひょんなことから出会い、元ボクサーである堀口にしごかれプロボクサーを目指す。人が心にもっている愛や孤独、自分と向き合う青春物語。

wikipediaより 

 

まず主演をご紹介。

菅田将暉演じる新次と韓国ん俳優ヤン・イクチュン演じる建二を中心に物語が進みます。 

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ストーリーに入る前にね

まずね、ボクシングのシーンが素晴らしい。

特に菅田くん。本当に筋肉つけているし

ステップも綺麗だし、魂感じました。

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やっぱりこういう哲学的な作品の方が菅田くんはいいよねえ。

男ながらに見惚れてしまいます・・・。

『そこのみにて光り輝く』よりもよかったかも・・・

 

www.allyouneedislove.tokyo

 

 

 

ここからはストーリーというか感想というか。

 

ボクシングを通じ様々な人生が交錯していく様を描き

新次と建二の生き様が最後に交わります。

 

 

この映画を見終わって感じたこと。

この映画には3種類の人間がいる。

 

①美しい人

②美しくなろうとする人

③美しくない人

 

 

そしてあえていうなら俺は

「美しくない人」

 

ということです。

もちろんルックスの話ではなくてね。

 

 

新次と建二をはじめ主要人物は全員美しい。

それは命を燃やしているから。

全力で生きてる人は美しいなと思いました。

俺は全力で何かに打ち込んでいるだろうか

命を燃やしてるだろうか、と思わずにはいられませんでした。

 

 

 

次に、美しくなろうとする人は

新次の彼女だったりジムの片目ね。

芳子は新次の熱量に触れ自分を変えようと

新次から距離をとります。

が、結局「美しくないこと」を続けている

というリアルさがあります。

一方ユースケ演じる片目はクライマックスで

常時つけているサングラスを投げ捨てます。

そう、美しいものを目に焼き付けようとします。

「まだ間に合うかな」

ということなのかな。

 

 

そして映画の中でそれらに反するもの、「美しくないもの」

の象徴的存在として描かれているのが建二の父親です。

かなり重要なポジションです。

見た目もやることも「美しくない」存在として描かれています。

自衛隊時代は部下に制裁を加え、息子にも体罰を加え

アル中だし久々に会った息子にやっぱり罵詈雑言を浴びせたりと

とにかくその下劣さは見た目共々増していきます。視界も閉ざすし。

ではその父親が映画のクライマックス、

一番美しいシーンで何を思うのか。

 

 

結局最後は見れないんですね。

一目も美しいものを見ることなく命を落とします。

 

 

ここに強烈なメッセージ性を感じました。

「お前もこうなるぞ」

と。

 

 

命を燃やせ、削れ、絞れ。

美しいものが見られなくなるぞ。

と。

 

 

命を燃やしていない僕は全然美しくない。

と思った。何してんだおれ、って。

 「何して生きてますか?」

と聞かれたら何も答えられない。

 

見方を変えれば「命を燃やしてる」という点で言えば

性産業に従事している方や暴力団、危険な仕事

をしている方々の方がよっぽど美しく生きてる可能性はあるよね。 

一日一日を保険もない人生を生きてるわけですから。

そりゃ色気出るよねえ。

 

 

普通が一番とは言いますけども。

本当にそうなのかねえ。

一番ダメなのは「なんとなく」年を取っていくことだと思ったねえ。 

何かに打ち込んだ経験がないまま歳をとると、

なんか、ダメだよねえ。

 

 

他に好きなシーンとして

新次と芳子の会話の一幕です。

新次が

「お前のこともちゃんとやる」

と言うんですけど芳子は

「何を」

と聞き返すんですけど間髪入れず

「愛とか。」

 

 と返すんですね。

愛をちゃんとやる。

まずね、「愛」って言葉のハードルってあると思うんですよ。

恋とか好きとは別次元のハードルが。僕的にはね。

 

「愛」というものをちゃんと噛み砕いた上での「ちゃんとやる」

こういう愛とか深いとこを凄いさらっとやるところも

かっこいい演出だなあと思った。

 

 

 

そして迎えるラストシーン。

最後新次の眼差しにぞくっとします。

 

「お前は生きているか?」

「命燃やしているか?」

 

 

まだまだまだまだ僕には熱量が足りない。

熱中できるものを見つけなきゃ。

命短し恋せよ乙女ですよ。

 

 

 

まだ間に合う。

美しく生きよう。

 

 

おわり

 

ps これで泣けて話通じる人と仲良くなりたい。 

 

この映画はまだ公開中だから当然ないけど 『そこのみにて光り輝く』nとかたくさん無料で観れますよ! ↓