愛にまつわるもの

愛に生きるという自分への備忘録。

【小説】『昨夜のカレー、明日のパン』・・・終わりからの物語

終わりからの人生も長いのです。

 

 

こんばんは

 

今日は小説ご紹介します。

『昨夜のカレー、明日のパン』

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昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

 

 

ふらっと買ってみた小説なんですけど

僕は好きな小説でしたね。

この木皿泉さんの作品は初めて読みましたけど

言い回しや共感できる描写があって気に入りました。

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 というかドラマ化してるみたいですね。知らんかったけど。

 

 

特に大きなドラマがあるわけではないんですけど

日常をのんびりとじんわりと描いています。

 

推理モノ、警察モノ系が好きな人には

あんまり入っていかないかもなあ。

 

あらすじはこんな感じ

悲しいのに、幸せな気持ちにもなれるのだ―。七年前、二十五才という若さであっけなく亡くなってしまった一樹。結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、一緒に暮らし続ける一樹の父・ギフは、まわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく。なにげない日々の中にちりばめられた、「コトバ」の力がじんわり心にしみてくる人気脚本家がはじめて綴った連作長編小説。

amazonより

 

オムニバス形式なんだけど登場人物は同じです。

違う話に出てきたストーリーがまた違う話で出てきたりという

書き方もされているので普通に長編小説読んでいる感覚ですね。

 

ストーリーもいろいろあるんだけど

中に好きな設定があって

「笑えない病気の客室乗務員」

「笑っちゃう病気の産婦人科医」

「座れなくなったお坊さん」

が一緒になって何かやるっていうシーンがあるんだけど

淡々とそんな3人を説明しているもんだから

なんかクスッとなってしまいます。

そんなんありかよって感じ。

 

若干のひねくれが丁度いいなあ。うん。

 

 

あと後半に好きなシーンがあるので紹介します。

 

茶碗を買ったらおしまいと思っていたけど、そうじゃなかったことを。

茶碗を買ったら、たぶんはじまるのだ。

輝く未来じゃないと思うけど、ゆるやかに始まっていくのだ。

 

「あ、好き!ここ!」

 

と思いました!

 

 

「〜したら終わりだよね。」

ってよく言うし僕も言うことあると思うけど

 

「1人で酒飲むようになったら終わりだよねえ」

という見方もできるけど、それは反面

「素敵な1人飲みライフ」

が始まるわけよね。ゆるやかに。

 

他には

「彼氏の前でオナラするようになったら終わりだよねえ」

っていう反面

「彼氏の前でもオナラできる関係の始まり」

でもあるわけじゃん。

 

 

人生変えるほどの衝撃はないけど

ああ、確かにそうだよな

いい考え方知れたなあ、という感じの心地よさでした。

 

 

ストーリー的には

「終わり」からの残された方の人生を中心に

進んで生きます。

とはいえ「泣かせ」にかかる表現はないので

気楽に読めると思いますよ。

 

婚約者がなくなってからの人生

長年寄り添った奥さんがなくなってからの人生

未来がなくなってからの人生

仕事ができなくなってからの人生

 

終わりからの人生も長いのです。

 

また新しい「始まり」がゆるやかにゆるやかに始まるだけです。

 

 

最初に推理もの警察もの好きにはあんまりかも

とは言いましたが、ここまで読んで頂けたなら

普段ドキドキハラハラものばっか読んでいる人も

是非是非読んでみてください。

 

 

 

おわり

 

ps 伊坂幸太郎重松清森見登美彦を足したような感じがしないでもないけどそんなこともないのかもしれない。