愛にまつわるもの

愛に生きるという自分への備忘録。

【小説】『マチネの終わりに』・・・あなたの過去は美しいですか?

こんばんは。

今日は『マチネの終わりに』紹介します。

 

f:id:allyouneedislove:20171010212524j:plain

 

 

 

平野啓一郎さんが著者の本作。

各方面で大絶賛されており、気になって読んでしまいました。

 

とても上品で僕にはまだ早いような気もしましたが

読みながらも心が燃え、怒り、様々な感情が駆け巡りました。

 

愛する人、愛していた人、愛された人、愛されたかった人

どれもリアルで苦しくて、最後まで結末が読めませんでした。

 

 

 

それでは遅くなりましたがあらすじはこんな感じ。

物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのかー

『マチネの終わりに』特設サイト|平野啓一郎

 

 

うーん、どうやって紹介しようか非常に迷うのですが

なるべくストーリーに触れないように

気に入ったところを一つか二つ紹介します。

 

 

①過去についての考察

最初にあらすじの通り、主人公の薪野と洋子が出会うわけですが

その会食での一コマがとても心に残りましたので紹介します。

 

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。」

「だけど、実際は未来は常に過去を変えてるんです。」

 

「今のこの瞬間も例外じゃないのね。」

「楽しい夜だから。いつまでもこのままであればいいのに」

 

 

いいですねー

説明し切らない。

 

野暮ですけど僕なりに簡単に解釈するなら

2人の未来が美しければ、この夜は美しいままだけど

2人の未来が苦しいものになるのであれば

今楽しいこの瞬間も未来から見れば苦しい過去になる

 

その時その時の感情で過去への捉え方は瞬く間に形を変えてしまう。

過去とはそれぐらい繊細なもの。

 

という感じでしょうか。

 

 

その後結局2人は疎遠になるのですが、

この夜は2人にとって感覚が通じ合う人に出会えた

という意味で、特別なものになります。

 

故に2人の人生の中でこの夜は何度も回想されることとなり

その記憶は熱を帯び形を変えまさに”未来が過去を変える”

こととなります。

 

故に洋子は

「過去とは繊細で、感じやすいもの」

と言うのです。

 

 

この一連の会話、最初僕は「?」となるんですが

物語の中の洋子は一発でその真意を理解しています。

そういう細かい感覚が合うっていうのが本当の「気が合う」ってことだと思うんです。

食べ物の趣味が合うとか服の趣味が合うとかって気が合うことじゃないと思う。

この小説でこの部分が好き、とか映画のこのシーンがたまらない

とかそういう心が震える感覚が合うってことが大事だと思います。

 

本文を借りれば、薪野も感覚が通じ合うことを

「話が通じ合うことの純粋な喜びが、胸の奥底に恍惚感となって広がっていった。」

とあります。そういう経験ってなかなかないですよね。

 

 

「未来が過去を変える」

ってこういう考え方は私自身したことはなかったんですけど

なるほど確かに、過去を変えてるのは未来であって現在だなと思いました。

 

今では苦い恋愛と思っていることも当時は輝いていたはずです。

また、今では苦いと思っていても、近い将来美しい過去に昇華できるかもしれません。

 

美しい記憶にとどめたいけれど美しすぎると未練も残る気がします。

大事な思い出は、どう折り合いをつけて心に残しておけばいいんでしょうね。

そのうちわかるのかな。

 

 

 

語ってしまった!!!!!!

 

 

あとひとつくらいは紹介したいけど・・・うーん

 

 

ネタバレせずには紹介できないもどかしさ。

 

今回はここで終わります(笑)

全然何も紹介できていないけど(笑)

 

それだけ前情報なしで読んでほしい!

読んだ人ならわかってくれるはず!

 

名作ですよ〜

もっと年齢を重ねたらもう一度読みたい。

 

 

 

 

おわり

 

 

 

ps やっぱ文学に浮気とか不倫のエッセンスは必要不可欠ね